コラム

 その12 「自分のしてきた旅を人に伝えること」

 「どこでどんな旅してきたの?」と旅先から帰ってきた時や昔した旅の話を 人に話した時、こんなことを尋ねられたことがありませんか?

 旅先での楽しいできごとや感動したこと・風景、現地の人との出会いなど、 自分のしてきた旅を人に語るのはとても楽しく、時間さえあればいくらでも話 せそうですが、それを多くの人に伝えようとするのは、なかなか難しいもので す。
 昔の人は、旅日記や自分の記憶などをもとに紀行文など本で伝えていました が、近年、情報化の発達で、ホームページ(ブログ)などを使い、労力やお金 を掛けずに、世界の人に自分が体験した旅を伝えることができます。
 かくいう私も、私が体験してきた旅を多くの人に伝えようと、ホームページ やメールマガジンなどを使って発信をしています。
 でも、私を含め、旅をした人はどうして多くの人に自分が体験した旅の話を 伝えたいと思うのでしょうか?

 考えてみれば、人間は、とても素晴らしい生き物です。本に代表されるよう に、自分が体験していなくても、文字や映像、さらに耳から、あたかも自分が 旅をしたかのように身を置けることができます。
 つまり、私たちは、自分が旅に行っていなくても、他人が旅したことを書い た本や人の話などから、旅の疑似体験ができるのです。少し大げさに言うと、 疑似体験を通して、時間的・空間的制約を越え、いくらでも自分の思い描く旅 ができるのです。

 人に自分の旅を伝えたい気持ちと、人の旅の話を聴いたりすることは、密接 に関係しています。人の旅の話を聴いて、自分もそんな旅をしてみたいという 気持ちがどこかであり、逆に自分の旅の話をする時は、人に自分の体験を共有 してほしい気持ちがどこかにあります。

 旅を共にしていなくても、旅の体験を多くの人と分かち合う。それは、人間 が本能的に持っている、国境や世代を越えた人とのつながりをつくる立派なコ ミュニケーションなのです。

コラム目次に戻る

トップページに戻る
 
Copyright (C) 2002-2004 Tomoyuki Akiyama All Rights Reserved.